雪灯りに浮かぶゴールデン街

残業で遅くなった先週金曜日（2014.2.14）、23：00pm




おなかはペコペコ、　終電の時間も迫ってる、・・けど

東京では45年ぶりという
大雪のなかの「新宿ゴールデン街」を、ひと目、見ておきたくて





飢えと寒さと疲労に打ちひしがれながら行ってまいりました


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「新宿ゴールデン街」新宿区歌舞伎町1丁目





カメラのレンズが、雪にまみれて　・・拭きとりたくても


バッグの中からハンカチを取り出すことも出来ないくらい、身体は・・かじかんでしまっているのだけど　　




そんな過酷な撮影環境とはウラハラ

飢えと寒さと疲労に打ちのめされながら見た、雪灯りに浮かぶ街は



予想以上に、美しかった











脱・現実（酒場）のうえに降りしきる、非・日常（雪）は、眩しく輝いて・・



夢か現（うつつ）か、曖昧な、混沌のなかの世界

かいだんのうえのこども

かいだんのうえのこどもに　
きみははなしかけることができない

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

なくことができるだけだ
かいだんのうえのこどもがりゆうで



かいだんのうえのこどもに
きみはなにもあたえることができない



しぬことができるだけだ
かいだんのうえのこどものために



かいだんのうえのこどもはたったひとり
それなのになまえがない




だからきみはよぶことができない




きみはただ　よばれるだけだ


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　階段の上の子供「クレーの絵本第１集」／谷川俊太郎



※１枚の絵を見て、谷川俊太郎はこの詩を書きました　　　　パウル・クレー「階段の上の子供」　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

ＵＭＡＭＩ（旨み）成分でコク深い街

私の足で「１２５歩×９０歩」という、面積の中に
約２５０店舗がドヤドヤと、ひしめくように建ち並ぶ、飲み屋街

「新宿・花園ゴールデン街」






５０’s（フィフティーズ）の退廃的でリリカルな
ひなびた器に

アート・芸能・文学などの「旨み」成分を、継ぎ足し継ぎ足し・・



味わい深いコクの、秘伝ダレの街へと昇華しました




　　～失くしたら、もう、代わりは、無い～　


唯一無二、かけがえのない存在が魅力の、「昭和盛り場」貴重な原（幻）風景











最近、欧米系の観光客が、多くこの街を訪ねてくるようになりました

目をキラキラさせて一軒一軒のぞいて歩く外人さん＾＾
日本特有の「UMAMI」（旨み）を、きっと解ってくれてるんでしょうネ、・・誇らしい気分になりました

ネコも杓子も 月に吠える

まつくろけの猫が二疋



なやましいよるの家根のうへで



ぴんとたてた尻尾のさきから





糸のやうなみかづきがかすんでゐる





『おわあ、こんばんは』


『おわあ、こんばんは』



『おぎやあ、おぎやあ、おぎやあ』

『おわああ、ここの家の主人は病気です』　　
　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　猫／萩原朔太郎　　　　　　　








本日最初のお客様はネコでした　　　　　　

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　プチ文壇バー「月に吠える」新宿区歌舞伎町1-1-10



月に吠える犬は、自分の影に怪しみ恐れて吠えるのである
　　　　疾患する犬の心に、月は青白い幽霊のやうな不吉の謎である
　　　　　　　　犬は遠吠えをする

　　　　　　　　　　　　　　私は私自身の陰鬱な影を、月夜の地上に釘づけにしてしまひたい
　　　　　　　　　　　　　　　　　　影が、永久に私のあとを追って来ないやうに

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　月に吠える／萩原朔太郎

あばんギャルど

アングラ劇団「天井桟敷」の主宰、寺山修司も
かつて愛した新宿文化の発火エリア「新宿ゴールデン街」

と、そこに住まう、ネコ





街と同じく、ネコも
アヴァンギャルドな空気、ヒタヒタ漂わせてます


そして、ここにも
創作活動中にて、迂闊に寄るなと信号発してるネコ


固定観念・既成概念に囚われない新たな表現方法を模索中の、近寄りガタい風変わりな前衛ゲイジツ家


とそこへ、ギャルが２人通りかかりました


　　　　　　　　　　「あっ、かっわい～いい、ほらあネコ♪」





　　　　　　　　　　「ふんっ、客寄せ、客寄せ」


　　　　　・・客寄せ


ネコと見れば条件反射で、かっわい～いいと言ってしまうのが、ギャル

そんな自然の摂理を砕くかのように「客寄せ」と言い放った
今この瞬間、この街で１番・・あばんぎゃるどな、ギャル

あばんギャルど

・・・・・




話は、がらっと３５０度くらい変わりまして
じつはゴールデン街で、すっごい好みのタイプのワンコと出会いました

かっわい～いい


今まで出会ったワンコの中で、ＮＯ1クラスです　　ふふんっ

空の青は、恵み深い嘘

　　　　空の青いところへたどり着くと



　　　　きっと誰もいない



　　　　あれは恵み深い嘘なのだ


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　谷川俊太郎「風のおかげで樹も動く喜びを知っている」


「そうか、ここは元、青線だった場所なんだ」

すれ違った若い男の子が、涼しげな声で言いました
青線は、昭和３３年に売春防止法が施行されるまで、そう呼ばれていた
非合法売春エリアの俗称です


建物の僅かな隙間から見える
まやかしの空の青の、恵み深さを
しっかり受け留めていた女性が

かの時代、同じ目線で空を見上げていたでしょうか

酒場にて 中原中也＆ゴールデン街

　　　今晩あゝして元気に語り合つてゐる人々も
　　　実は、元気ではないのです


　　　近代といふ今は尠くも
　　　あんな具合な元気さで
　　　ゐられる時代ではないのです


　　　諸君は僕を、「ほがらか」でないといふ
　　　しかし、そんな定規みたいな「ほがらか」なんぞはおやめなさい


　　　ほがらかとは、恐らくは
　　　悲しい時には悲しいだけ
　　　悲しんでられることでせう？


　　　されば今晩かなしげに、かうして沈んでゐる僕が
　　　輝き出でる時もある


　　　さて、輝き出でるや、諸君は云ひます
　　　「あれでああなのかねえ
　　　不思議みたいなもんだねえ」


　　　が、冗談ぢやない
　　　僕は僕が輝けるやうに生きてゐた

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　酒場にて（定稿）／中原中也　１９３６．１０．１　未発表詩篇

無断撮影禁止の花園、ゴールデン街

新宿のブログを始めたならば
決して決して外せない魅惑の花園、新宿ゴールデン街

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　「新宿ゴールデン街」新宿区歌舞伎町1
だけど、ここは無断撮影禁止エリア

ほとんど誰も見ていないブログとはいえ
勝手に撮影・掲載しては・・イケナイ雰囲気

こそこそカメラを構えながら
気の小さい私は人の視線が気になって、もうあっぷあっぷ

そこで「新宿三光商店街振興組合」に
思い切って、メールで問い合わせをしてみたところ
スグにご返事を頂きました

　　「個人ブログ用に撮影をした写真の掲載とのことですが、
　 　通常は申請書の提出と撮影料金を頂戴しております。
　 　但し、商業目的以外（趣味の範囲）ということのようですので
　　 今回はお名前とご連絡先（住所・電話番号）をお知らせいただくということで、
　 　撮影を許可したとみなさせていただこうと思っておりますが、いかがでしょうか？」

感じのいいご対応、どうもありがとうございました

無事に許可も頂けて、これで堂々いざ神秘の花園へ


と、早速出会ったのは、おっ新宿タイガー

何やら、交渉している様子


こじんまりした店内には、かさばり過ぎるコスチュームだったみたい