クーばあちゃんの魔法の花空間 [文京区]
切り絵の女神と呼ばれる、中国初のユネスコ認定「民間美術工芸の巨匠」
クーばあちゃんこと庫淑蘭:クー・シューラン(1920-2004)は
封建主義の影響を色濃く残す
陝西(せんせい)省、旬邑(じゅんゆう)県の
農村部に生まれました
「クーばあちゃんの魔法の花空間 ~庫淑蘭切り絵展~」2023.9.22~11.5
「日中友好会館美術館」文京区後楽1-5-3
「獅子の子」2001年製作
幼少期での結婚、文盲、纏足の強制、夫からのDV
衛生状態が悪く13人の子供のうち10人が亡くなるなど
辛く悲しい日々のなか、彼女の生きる希望になったのが
農業の合間に作る
中国伝統の剪紙(切り絵)でした
村で開かれる剪紙の教室が終わると
机の上や床に散らかった切りくずをかきあつめて持ち帰り
それらを素材にして制作していたそうです
切りくずの一欠片一欠片を、大切に慈しみながら
作品と向き合う庫淑蘭の姿を思い浮かべると
なんだか胸がじんと熱くなりました
65歳のとき、崖から転落する事故に遭い
40日を超える昏睡状態に陥り
生死の淵を彷徨う庫淑蘭の脳裏に「切り絵の女神」が現れました
「切り絵の女神」1989年製作
奇跡的に意識を取り戻した、晩年の彼女の作品には
たびたびその女神が登場するようになります
女神の手には、小さなハサミが握られていて...
「切り絵の女神」1992年製作
自分自身を「切り絵の女神」と位置づけ、自己を肯定し
クーばあちゃんこと庫淑蘭は
全身全霊で、切り絵を作り続けました