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太宰治が生きたまち~三鷹 [むさし野詩人]

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陸橋のうえで黒いマントを翻し遠い空をじっとみつめている作家

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1939(昭和14)年、三鷹に転居してきた太宰治は
1948(昭和23)年、玉川上水で自死するまで
「走れメロス」「斜陽」「人間失格」などの作品を発表しました

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ここは三鷹で太宰治が暮らしていた当時のままの姿を残す
唯一のスポット「三鷹跨線人道橋(陸橋)」です

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近くに仕事部屋があった太宰治はこの陸橋が好きで
「いいところがある」と言って編集者や弟子を連れてきていたそうです

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10代のころ、わたしは太宰治の
「女生徒」という作品が気に入ってて繰り返し読んでました

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遠い田舎の山の頂上の一軒家や、パリィの裏街の汚いアパートの廊下で
主人公と同じ年の娘たちが洗濯しながら、同じ瞬間、同じ月に笑いかけて想う

 いまに大人になってしまえば、私たちの苦しさ侘びしさは、
 可笑しなものだった、となんでもなく追憶できるようになるのかも知れないのだけど、
 けれども、その大人になりきるまでの、この長い厭な期間を
 どうして暮していったらいいのだろう。

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少女からオトナへの過渡期で揺れまくる内面をもてあましてるのは
自分ひとりではないんだと救われたような気がしたのでした



こちらは、ちょうどそのころ
祖母から譲りうけた「人間失格」の初版本
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              「人間失格」1948(昭和23)年7月25日 筑摩書房発行
                   
この本には連載13回で未完、絶筆となった「グット・バイ」も掲載されています




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玉川上水沿いにある「玉鹿石」
この道路を渡った向こう側が太宰治と山崎富栄が入水した場所です

当時の玉川上水は「人喰い川」と呼ばれるほど急流で水量も多かったそうで...

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玉川上水にかかる「新橋」付近で紐で結ばれた二人が発見されたのは
奇しくも太宰治の誕生日6月19日でした



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                     「禅林寺」東京都三鷹市下連雀4-18-20


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コメント 7

こじろう

はなだ雲さん,こんばんは♪
初版本とはすごいなぁ~!
「かえる」は,太宰の作品は嫌いではないけど,人間性と言うか死ぬ死ぬ詐欺がどうにもひっかかる。
できればグッド・バイせずに仕上げて欲しかったと思うんだ。
by こじろう (2019-02-24 20:54) 

ぼんぼちぼちぼち

あ!やっぱり今回は太宰でやしたね!
あの陸橋にも行かれたのでやすね。
あの陸橋は古いままで趣あるし 鉄道マニアじゃなくても眼下のたくさんの線路に惹かれてしまいやすね。
いつまでもこの姿のまま遺り続けてほしいでやすね(◎o◎)b
by ぼんぼちぼちぼち (2019-02-25 18:33) 

路渡カッパ

太宰治お気に入りの跨線橋、雰囲気ありますね♪
昭和23年の「人間失格」初版本は希少なものでしょうね、文体や活版の字形も昭和っぽくてイイです。
玉川上水、現状だと入水自殺は考えられないのかな・・・(^_^ゞ
by 路渡カッパ (2019-02-28 21:56) 

song4u

こんばんは。
もうすっかり春ですねえ。
庭のハクモクレン、油断してたらもう咲きはじめてました。
こうやって日々が知らない間に過ぎ去って行くんですね。
実に困ったモンであります。

さて、太宰治なんですが。
浅学のゆえ、辛うじて名前だけを知ってる程度でありまして、
まったく語れるものが無くて申し訳ございません。

初版本、70年以上前のものなんですね。
さすがにそこまで古いと、ぼくもまだ生まれておりません(笑)。
年輪を感じさせる「焼け」具合が何とも言えませんね。
それと、例えば写真の39頁、終わりから2行目の「相変わらず」
の「変」が旧字体、もちろん「大笑ひ」「来てゐた」などの
旧かな遣いも、実に流麗で魅力的な時の流れに映ります。
昭和23年というと、そんなに大昔とは思えないのですが、
小口周辺部の焼けといい、活字文字から受ける印象といい、
やはり70年という長い長い時間の重なりを感じました。
あと、お墓には花が絶えないのでしょうね。すごいなあ。

ぼくにとっての「三鷹」。
先週お話しした、憧れの下連雀(笑)の少し後ぐらいでしょうか、
「三鷹」という単語に出会ったのは陽水の2ndアルバムでした。
「陽水Ⅱ センチメンタル」…ご存じのことと思います。
歌詞カードとライナーノートは、陽水直筆のグニャグニャした
とてもクセのある極細文字で書かれていましたが、そこに「三鷹」
が登場していたのを憶えておられますか?
それがどういうわけだか非常に印象に残っていて、下らないこと
だけは本当によく憶えているモンだと我ながら感心しております(笑)
ライナーの写真を探したのですが適当なものが見つからず、
文字に書き起こされていたのを見つけたので、貼り付けます。

“僕が中野から三鷹に引っ越したのも、いつか恋人が出来た時、
中野の六帖一間ではあまりに狭いし、風呂がないのもいやだなと
考えたからです。恋人が出来たらどうしようかな、相手の人の事を
よく知ってから結婚しようかな、それとも、すぐに・・・・・・
結婚式はやっぱり家族、友人に来てもらって盛大にやったほうが
いいのかな。それとも二人っきりでひっそりと静かに「愛」を全身
で感じながら教会かなにか、こうロマンチックな所でやった方が
いいかな。
僕は人から祝福されても、どうもすぐテレてしまい、それも可愛い気
のある人のテレる姿は、なんとなく見ていてもほほえましいものだが、
僕は妙に自意識が強く、そのぎこちない姿が自分自身ですっかり嫌に
なるくらいだから他人様から見れば、嫌悪感ははかり知れないものが
あると思う。
聞けば結婚式というもの、いくら気丈な人でもすっかり緊張してしまい
何を言ったかはもちろんの事、前後の見境もつかなくなるとの事。
僕は筆に表現しがたい程の気弱な性格だから、なんといってもこの点が
一番気になる。どうも悪い予感がする。指輪を落とすくらいは必ず
やりそうだし、その指輪が何処かに転がって見つからなくなり式が中断
することも、じゅうぶん予想出来る。
それに僕のこの髪型は、いくらなんでもモンツキ、ハオリハカマでは
なにやら時代感覚のずれたヤマアラシで、一生永遠の愛を誓い合う場所
には不つりあいだし、かといってタキシード、モーニングを着こなす程
の力量はどうひいきめに見ても僕にはない。
はて、困った。本当にどうしようかな。
三鷹の夜は静かで長く感じるのでそんな事を考えてすごす。
まだ相手も居ないのに  井上陽水”
by song4u (2019-03-02 19:44) 

はなだ雲

こじろうさん、こんにちは
また「死ぬ死ぬ詐欺」と言われてもいいから
「グッド・バイ」の続きを読みたかった気持ちもあります
太宰治は若かりし日のわたしにとって
かけがえのない特別なひとだったんだけど
いざ記事にすると薄っぺらくて、我ながらガッカリ笑

ぼんぼちさん、こんにちは
お察しのとおり今回は太宰治でございました♪
陸橋ではごっついカメラを持った人たちが
熱心に電車や車庫の写真撮っていらっしゃいましたが
ご近所で散歩中らしき人たちも
陸橋のうえで足をとめて景色を楽しんでいらっしゃいました
いつまでもこのままの姿で残ってほしいとわたしも思います^^

路渡カッパさん、こんにちは
陸橋、ほんとうに雰囲気ありました
人間失格の初版本は、保存状態がイマイチで
売り物にはならないだろうし
祖母をおもいだすので最後まで大事にしたいとおもいます♪
玉川上水、永年コワイ恐ろしい印象をもってて
なかなか行く気になれませんでしたが
いざ行ってみると、お水ちょろちょろで
なんか違うぞというかんじでした

song4uさん、こんにちは
お庭にハクモクレンがあるって素敵ですね^^
人間失格の初版本、本ヤケやシミがすごいです
本の材質がそもそも悪い気が・・
昭和23年というとまだ日本は物資が不足してた時代だった
というせいもあるのでしょうか
旧字体や旧かな遣い「流麗」ですね♪
songさんにとって三鷹は井上陽水でしたか
わたしは井上陽水のアルバム持ってなかったので
「ライナーノート」の存在、知りませんでした
陽水って中野から三鷹へお引っ越ししたんですネ
「三鷹」に手に届きそうな現実生活が浮かんだのかな
”三鷹の夜は静かで長く感じる” かぁ・・

たしかに三鷹って住みやすそうです
吉祥寺まで歩いていけて吉祥寺にはなんでもあって
あと特別快速が止まるのはポイント高いです笑
by はなだ雲 (2019-03-03 11:54) 

song4u

ちょっとだけ、どうしても書きたくなったのでご容赦を。
こじろうさんへのコメントに「いざ記事にすると薄っぺらくて」
とありますが、決してそんなことはないと思います。

太宰や山崎富栄について、かなり深く調べました。
特に山崎富栄については予備知識皆無という状況だったので、
この記事のお陰で随分勉強になり、色々と書きたいことが湧いて
来たのですが、雲ちゃんが発する「特別感」オーラに押されて
とても書く気にならなかったというのが正直なところです。

「かけがえのない特別なひと」

ビンビン感じました!
きっとそれはぼくだけではなかったと思います!
ごめんね、しつこくてm(_)m
by song4u (2019-03-09 20:35) 

はなだ雲

song4uさん、こんにちは
「太宰や山崎富栄について、かなり深く調べました。」
本当ですか!
songさんが深く調べたとおっしゃるからには
想像以上、より以上、お調べになったこととおもいます^^
色々書きたいこと沸いてきますよね、そりゃあ・・
書かないでくださったご配慮にお礼をいいます♪
by はなだ雲 (2019-03-10 10:28) 

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